北欧雑貨やオーダーカーテンを販売している出村レース株式会社は、1962年に設立されました。
“売り手良し、買い手良し、世間良し”の「三方良し」を理念として掲げ、「素敵な生活空間を作るお手伝いをするお店」を目指しています。
レースカーテンの縫製加工を行うメーカーとして、ホームセンターや百貨店で販売を行っていましたが、徐々にお客様のニーズに変化が現れます。それは、“こだわりのテイスト”を求めるお客様が増えたことでした。そういった変化により、メーカーとしての事業が鈍化し始めたことがきっかけで、オーダーカーテン事業を開始。
以前より、社長の出村さんは、欧米の美しい窓廻りの装飾に魅了され、海外へ研究を兼ねて展示会に足を運んでいた経験から、日本にもその美しさを伝えたいと感じていました。そういった想いから、オーダーメイドカーテンのショップを展開します。
2011年に、オーダーカーテンをネット販売するためにECに参入しました。ショップ名は「curtains(カーテンズ)」。2018年に、自社ECサイトの改善により、2018年以降の売上は右肩上がりに上昇。
サイト改善によって「curtains」の追い風となった重要なポイントをご紹介いたします。
(Shop curtains:https://www.curtains.jp/)
現在の事業とECショップの課題
出村レース株式会社は、オーダーカーテンに合わせたクッションカバーやベッドカバーなどの雑貨も一緒に、同じ素材で制作することが強みです。
1cm単位でのオーダーが可能なため、こだわりを持つお客様のお悩みや希望にぴったりの商品をご提供することができます。実店舗もありますが、完全予約制で、商品を見るショールームとして展開しているため、EC販売が9割だといいます。
以前までは、ECページ最適化をなんとなく行っていて、データに沿った対応ができていませんでした。そのため、運営側のより良い業務効率化やお客様の回遊率アップなどを実現する目的で、コンサル会社と協力をして、数字の細かい分析から改善をスタート。
(出村レース株式会社HP:https://www.demuralace.com/)
アンケートのリアルな声を受けて見やすいページへと改善
まずは、ユーザーアンケートを実施したところ、「ごちゃごちゃで見にくい!」というご意見が多かったといいます。スタッフは、SEO強化のために文字数を多く記載していましたが、それが逆効果でした。
そういった声を聞くと、改めてユーザー目線でのサイト改善が大切であることが分かります。
SEOは勿論重要ですが、お客様の欲しい情報がなければ直帰率も上がってしまいます。
それらを改善するために、UIの見直しから始まり、お客様の役に立つ記事コンテンツを追加。ECショップcurtainsを見てみると、様々なお客様の購入動機に対する特集記事が多い印象でした。
例えば、外からの目線が気になるお客様に向けた「外から見えにくいカーテン特集」や、実際に部屋にカーテンを取り付けた時の“柄”の見え方について分かりやすくまとめられた画像付き記事など、EC購入にはハードルが高いカーテンの特徴がしっかりと伝わります。
数字分析で流入率の高い導線ページの強化
上記の見にくいサイト改善と同時に、一番流入に繋がっている、または人気のページを元に導線の改善を行いました。
お客様のカスタマージャーニーを仮定した購入に繋がる導線の設計は、サイトを作る上でとても重要です。どのページから欲しい商品が購入できるのか分かりにくいサイトは、離脱も多く結果に繋がりにくいことが分かっています。
情報量を多く掲載し、SEOによる流入が多くても、商品へ辿り着けなければ「もったいない」です。
Curtainsを“お客様が見やすい“サイトに改善したことで、アクセス数は倍増。カーテンに関わるワードの検索上位も獲得でき、回遊率やUVRにも効果が表れたといいます。
Curtainsは、このタイミングで楽天モールへの出店も試みたため、認知度も向上し検索される回数も増えたのかもしれません。
カーテンサイズの計り方の紹介やチャットボット導入
元々は、ご依頼を受けたお客様のご自宅にお伺いし、カーテンの寸法を行っていた出村レース株式会社。しかし、コロナが流行り始めたことで、直接お伺いする方法に対策が必要になったことと、交通費の削減のため、サイズ寸法方法に工夫を施しました。
それは、サイトでカーテン寸法方法の動画をご紹介し、ご自身でサイズを確認いただく方法です。準備するものから、ステップ方式で動画が進みます。カーテンレールにはランナーが付いているため、横の長さも意外と図り方が難しいイメージがありましたが、4分程度にまとめられた動画はとても見やすく参考になります。
また、チャットボットで自動応答が可能となったため、おすすめ商品のご提案やお好み商品のピックアップなど、店舗外でもお客様がオーダーしやすい環境を整えたといいます。
その結果、業務効率化とコスト削減、離れた距離でもオーダーができる利便性向上にも繋がりました。
※Shopサイトに掲載されています。
まとめ
こういった改善があったことで発注数が一気に増加し、受注面での対策が必要となったという出村レース株式会社。一つステップが上がったことで、また新しい部分での改善の繰り返しです。
今回の事例のように、サイト運営をしていると、まずはお客様の流入ばかりに気を取られ、大切な導線が分かりにくくなってしまうパターンは少なくないように感じます。そんな時に一番必要なものは、数字分析とお客様からのリアルな声です。
憶測の中でECサイトの最適化を行っていても、結果に繋がりにくく、スタッフの士気が下がる一方で、数字の分析は必須。
そして、伸び悩んだ時こそアンケートを実施してみることで、的確なユーザー目線の理解へと繋がり、より具体的なカスタマージャーニーを組み立てることができます。導線が出来上がったら、次はお客様が求めているコンテンツ作りを行うなど、徐々に変化を加えることで良いサイトが出来上がるように感じます。
海外の素敵な生地を活用したオーダー商品を発注できる、出村レース株式会社。内側からは見えにくい部分の改善として役立つEC事例のご紹介でした。